(有)プランニングデュオ・ 福島 早知子>
インゲボルグ・リーサ夫人は高い技術を評価されクリスタル・ギルド賞を受賞した作家です。ご主人が南ドイツの古い由緒ある家系で、娘の7歳の誕生日にドールハウスを贈ったのがきっかけで、その後すばらしい収集活動を続けており、ヨーロッパでは世界のドールハウス・コレクターの第一人者として功績が大きく称えられています。
    
東京の高島屋デパ−トで「ドールハウス」展が開催された時、即売所に隣接して、とてもはっとさせ、心にふれる一群の人形があった。その人形たちは犬と戯れる2、3歳の子供たちを表現したものだった。その唯一欠点といえば、売り物ではないということだった。

作者の早野たづ子さんは結婚前に絵画を勉強しており、その時に人体のプロポーションを修得している。そして結婚後、長女が3才くらいになった時に人形作りを始めたのだった。

人形作りをマスターするのはなかなか大変なことで、その技工を完成させるのには、造形美術を学び続けながら、13年以上の年月を必要とした。50才になって遂に、彼女の最初の孫が生まれた後、自分の趣味に没頭できるようになった。

そんなわけで、1979年以来、300体以上の人形を自分の全くの楽しみとして作り続けてきたのだった。展覧会に貸し出すことはしばしばあるが、決して売却しないのである。

彼女の人形作りの技を教えてほしい という要望が強まる一方だったので、週に2回自宅でレッスンをすることになった。作品が呼び起こす賞賛にもかかわらず、「本当にこれでいいのか、もっと良くすべきでは?」と常に自問自答を繰り返す彼女であった。しかし、このような疑問の時期のあとにはいつも創作の面 で新しい、より高度な局面が広がるのである。

早野たづ子は子供達の様子にいつも心惹かれていた。 人形のモデルはまずは自分の二人の娘であったが、次には、マコト、ケンジ、ジュンという三人の男の子の孫達となった。

東京の展覧会に出品された「子供と犬」の風景は、孫達がまだ幼い頃、捨てられた9匹の子犬を家に連れ帰って家族の「懐」で養い育ててた頃のものである。

たづ子は犬と子供達の交流を感動とともに見つめ、彼女の驚くべき感性と手腕によって、これらの瞬間を再現したのです。彼女の孫達は大きくなり、今日では成人している。しかし彼女はこの年月に制作した人形を通 して、彼らの幼年時代の感動を再び呼び起こすのである。 「人形達を手放せないのは、きっとそのせいなのです。」と、彼女はいいます。

彼女の末娘のちや子は母と同じ道に進んだ。彼女はドールハウスを制作し、この展覧会にもたづ子の1/12サイスの可愛い人形達で活気づけられたドールハウスをいくつも出品していた。

   
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